眠った村と壊れた橋。

レビュー多。

『無人惑星サヴァイヴ』へのAmazonレビューの写し

★★★★★『迷子たちの冒険、サバイバル』


「キロロとラウンドテーブル(feat.ニノ)の主題歌に惹かれて見始めたこのアニメ。心をぐっと掴む奇抜さこそないものの、ついつい続きが気になってしまう魅力的なドラマがある。
 主人公の少女"ルナ"を初めとする子どもたち(桃色の猫型ロボットを含む)は、入念に整備されたスペースコロニーに住み学校通いしていたが、ある日シャトルで宇宙を航行している途中、「重力嵐」という自然現象に巻き込まれて見知らぬ異星まで飛ばされてしまう。そこは太古の時代の地球のように人がおらず、文明の未だ発展していない野蛮で危険な星だった。
 不時着した彼らは動揺した。ある者は冷静さを欠きがみがみと不平不満を吐きまくり、ある者は落ち込んで消極的に悲観ばかりし、子どもたちのまとまりはぼろぼろだった。だが、故郷を同じくするものとして、また剣呑な異境で力を分け合い助け合う同士として、彼らは互いに、摩擦を生じさせながらも、一致団結し連携して行動する。悲嘆に暮れる者も、わがままな者も、単独行動を好む者もいたが、度重なる危機を協力して脱することにより、どうにかこうにか調和は保たれ、サバイバルのための同士という結び付きはほどけずに済んだ。
 子どもたちはそれぞれ際立った個性を持っている。未だ成長途上で生きてきた月日が短いが、ちゃんと独自の過去を持ち、それが各々の特徴、行動様式を形作っている。
 題名の"サヴァイヴ"に関連して、ドラマでは「生きる」ということが主題になっている。冒頭のシーンでも「生きる」ということの意味があるキャラの死と対照されて熱意を込めて伝えられている。
 文明による整備の全くない剥き出しの自然の中に降り立った子どもたちが、故郷への復帰を図りながら、どのような生を営んでいくのか。食べて寝るだけで済むのか。家は、寝床はなくてもいいのか。人間は、そんな粗末な環境で生きていけるのか。

 問いに、ドラマは否と答える。

 無名の湖には、ファンタジックな名前があった方がいいし、退屈な静寂にはバイオリンの上品な音色が聞こえた方がいい。食事だって、美味しく料理した方がいい。

 生の厳しさに参りそうな人間に対して、自然は必ずしも残酷なだけじゃない。美しい景色を、癒しを与えてくれる。


 このドラマを構成した人は人間という生き物を興味深く巧みに描き切ったと思います。
 異星での子どもたちの紆余曲折を通して我々は、一時的に未開の時代に立ち戻ってその困難さを(ほんの一端であれ)知ることが出来、勇気を分け与えてもらえた気がします。


 「生きる」なんて、ゴキブリやアメリカザリガニでもドラマが作れるくらい単純なスローガンだけど、単純「過ぎる」ことなく、人間だけが苦しみそして欲する心の渇きと潤いを、このアニメは時には涙ぐましくなるほど美しく繊細に描いてくれました。


 制作陣に多謝です。」


無人惑星サヴァイヴ DVD-BOX 1
無人惑星サヴァイヴ DVD-BOX 1
ハピネット・ピクチャーズ
2004-06-25
DVD



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