眠った村と壊れた橋。

レビュー多。

Fairy Chuckles ~妖精の微笑~

 Amazonにて『OSTERさんのベスト』へ昨晩レビューを書き、今日改めてじっくりその情趣を味わっていたら、ひどく切なく、胸がきりきりするほどにまで苦しい気持ちになりました。

 本当に、このCDアルバムは宝物のようなものだと痛感しました。


 口元が緩んでしまうくらいキュートで可愛らしい歌や、小憎らしいのに魅惑的な歌があるかと思えば、ひしひしと身につまされるような悲恋の歌まである。

 これはもう、(彦摩呂風に言うと、)感情のジェットコースターですよ。

 可愛さによろこびが咲いては、誘惑と挑発を受けて動揺し、そして、悲劇に心を湿っぽくさせる。

 何度聴いても、聴き返しても、満足に楽しめる。飽きが来ないですね。


『OSTERさんのベスト』への他のレビューにて賛嘆されていて、ぼくも深い共感を抱いた特色があったのですが、それは、OSTERさんのアレンジ能力の高さです。

 ご一聴なされば分かるかと思います。本当に演奏が絶妙なんです。


 このアルバム、聴いてみる順番をあべこべにしてみると、時々おもしろい現象が起きます。

 例えば今日ぼくは、"EAT ME" の後に "PIANO✽GIRL" を聴いたのですが、悲しげな歌の後にポップな歌が流れると、何と言うのか、妙な気分になりますね。悲しみと楽しみが渾然と溶け合ったような…… 

 "PIANO✽GIRL"はアルバム中最もピアノ演奏が溌溂として美しい名曲です。

 "EAT ME" を聴いていた時の自分の悲しみの感情が、この曲により(あるいは歌詞により)あっという間に楽しみへと変えられるのを感じると、まるでボーカルのバックでピアノを弾いているのが、魔法を扱える妖精であるかのように思えてきます。

 こんなに容易に感情を操れる心の達人は、今の世界にはあまりいると思えません。感情職人とでも言いましょうか。絶滅を危惧される貴重な人種です。


 ともかく、"PIANO✽GIRL" ぜひ聴いてみてください。ピアノを弾いている女の子の生き生きとした微笑みは、あるいは妖精のそれかも知れません。

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